(その1から続く)
翌日、早速バチカン市国に行ってみた。

有名なサン・ピエトロ大聖堂やサン・ピエトロ広場、
バチカン博物館などには目もくれず
関係者用の出入口に向かう。
その出入り口には、黄色と青のコントラストが印象的な
スイス衛兵が二人、微動だにせず立っている。
門の片側には管理窓口のようなものがあり、
出入りする人は皆、入館証のようなものを見せながら
その前を通っていく。
黒塗りの車が出たり入ったりし、そのたびに
門の前を通る観光客の流れが止まる。
そんな光景を見ながら、
この偽物の処方箋で本当にこの中に入ることはできるのだろうか、
とちょっと不安になる。
よし、と心を決めて管理窓口に向かった。
「すみません。薬局に行きたいのですが」
しかし、返ってきた言葉は
「今日は祝日だから、薬局は閉まっているよ。」
えー。そうか。
祝日は休みなのね。
せっかく未知のエリアに潜入できるかと
ワクワクしていたのにちょっと残念。
おばあちゃんの薬も手に入らないまま、
翌日、パリに出発。

せっかく調べて翻訳した薬の成分のメモがあるので
パリの薬局でも探してみることにした。
たまたま街中でみつけた薬局でそのメモを見せて聞いてみたが
やはり同じ成分の薬は無いとの事。
結局、薬は見つからず、手持ちの薬を半量ずつ飲むという
方法で日本帰国まで在庫をもたせることにした。
幸いおばあちゃんはイタリア滞在中は
高血圧が悪化することなく過ごすことができ
無事日本へ帰国したのだった。
旅行の時は、薬の数を間違えないように、ね。
こんな時のために、英語ももうちょっと勉強しなきゃ。